サンドブラストとは、ガラス表面を樹脂製のマスキングテープで覆い、文字や絵柄をカッターナイフなどで切り抜いてガラスを露出させ、その部分に圧搾空気で研磨材を吹きつけて彫刻を行う技法です。当工房はこの技法で名入れ彫刻を施しています。
研磨材としては金剛砂や炭化ケイ素が使われ、研磨材の粒度や吹きつける空気圧、吹きつける回数で彫刻する深さを調節します。加工時に砂やガラス粉が舞うので、密閉した装置の中で作業を行います。
物質の中で最も硬いダイヤモンドを使って彫刻する方法で、16世紀にイタリアのヴェネチアが起源と言われています。
ダイヤモンド粉を付けたペン先で、ガラスに点描や線描で傷をつけます。必要となる道具もペンだけなので、簡単に行えます。繊細な彫刻を施す場合に適しています。
ガラスの表面を小さな銅製などのグラインダーと研磨材で彫刻する方法です。中世の水晶彫りに使用していた技法を16世紀頃からボヘミアで使い始め、17から18世紀に隆盛となりました。
現在ではダイヤモンド研磨材を使用したものが多く、立体感のある緻密で絵画的な彫刻を施せるようになり、広く普及しています。
グラヴィールより大きなグラインダーで、より鋭く深いパターンの幾何学文様の彫刻を施す技法です。ガラス面に複雑な反射面が生まれ、きらめく効果が得られます。
始まりは紀元前までさかのぼり、日本には江戸時代に伝わり切子と呼ばれています。カットする文様に合わせてグラインダーの大きさや形状を変え、被せガラスをカットする江戸切子や薩摩切子が有名です。
レーザー光線によってガラス表面や内部を部分的に溶かすことによって、文字や絵柄を彫刻する方法です。太陽光を虫眼鏡で紙に焦点を合わせたとき、焦げるようなイメージです。
彫刻にはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーや炭酸ガスレーザーが多く使われています。
パソコンを使ってプリンター出力する様に加工するので、紹介している彫刻方法の中で唯一、非接触加工ができます。
ガラスは、ほとんどの薬品に対して侵されることがなく安定した物質ですが、フッ化水素やフッ化アンモニウムなどには腐食されます。この性質を利用して文字や絵柄を、化学的にガラス表面に加工することをエッチングといいます。
具体的には、ガラス表面をパラフィン(せきろう)でマスキングした後、それをかき取るように文字や絵柄を描きます。そのかき取った部分に、フッ化水素とフッ化アンモニウム溶液を塗って、ガラス表面を白くスリガラス状にします。近年では、サンドブラスト加工もエッチングと呼称されています。